2011年12月15日木曜日

いろいろとランクイン

「生きる技術」分室のA藤です。
 11月はじめに刊行しました、小田嶋隆『地雷を踏む勇気』(生きる技術!叢書)が、「ダ・カーポ」の選ぶ「今年最高の本!」で、『スティーブ・ジョブズ』に続く第4位に選ばれました。


 新聞・雑誌の書評担当者によるアンケートから選出とのことで、フィクション、ノンフィクション含めてのなかでの4位は、たいへんありがたいお話。「震災後の日本人の生き方のヒントになりそうなコラム」「どう捉えればよいのかわからない事象に直面したときの心細さに対する、またとない処方箋」との評もうれしく受け止めました。
 ミシマ社代表の三島邦弘さんからも、「2011年、最高傑作です。間違いないです!」とツイッターでご高評いただいておりますこの一冊、まだお読みでない方も、今年の総決算の読書としてぜひ。

 一方、11月末に刊行いたしました、小林弘人著『メディア化する企業はなぜ強いのか?』も好調な出足で、ブックファースト渋谷店さんでは、ビジネス書ランキングの7位にランクイン(12/8)。しかも、著者の小林さんが監修・解説を務める話題書『パブリック』と並んでのランクインで、こちらもありがたいかぎりです。


 また、丸善丸の内本店さんでは、フリー、シェア戦略を40年前から実践してきた伝説のバンドのビジネスモデルを分析した『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』との併売がなされておりまして、「さすが、わかっていらっしゃる!」とご担当者さまに脱帽の思いであります。さらにその下の段には、『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル』も。
 実は『メディア化する企業は~』の冒頭は「東京R不動産」についてのエピソードから入るのですが、ちょうど時を同じくして、その東京R不動産のメンバーが書いた本が発売になるのも、いいシンクロニシティ。これらをまとめた「文脈棚」が広がると、おもしろい展開になるのではないでしょうか。

2011年12月5日月曜日

『ロングトレイルという冒険』ご紹介いただきました!

現在発売中の「エココロ」(株式会社エスプレ)に、
加藤則芳著『ロングトレイルという冒険 歩く旅こそぼくの人生』をご紹介いただきました。
評者はモデルのKIKIさん。


ロングトレイルという冒険』は、数々の縦走を歩破してきた著者がロングトレイルへの強い思いとその醍醐味を写真とともに紹介し、森へ荒野へといざないます。


同時期に平凡社より刊行された『メインの森をめざして-アパラチアン・トレイル3500キロを歩く』(写真左)は、アメリカ三大トレイルのひとつ、バックパッカーの聖地アパラチアントレイルを歩破した記録。600ページを超える大ボリュームのノンフィクションで、著者の背中を追いながら歩く気分を味わえる一冊。

どちらも、ロングトレイルの愉しみや奥深さを伝え、ジョン・ミューアやソローをはじめとするアメリカの自然思想の根幹とトレイル文化のかかわりを知ることができます。

ぜひ、あわせて一読ください。


加藤則芳さんは、バックパッキングの第一人者として、またネイチャー・アウトドアライターとして、国内外のアウトドア、国立公園、自然保護、そしてロングトレイルなどをテーマに数多くの著作を上梓されてきました。

現在、重い病と闘いながらも日本でロングトレイルをつくるプロジェクトを積極的に進められています。
活動報告は以下のサイトでご覧ください。

加藤則芳 ロングトレイルを行く -- 管理者:家人

Backpacker's almanac
 
(編集部・A山)

2011年11月30日水曜日

COMODO:『たのしい下着』発売中です

園子温監督の『恋の罪』を鑑賞して、峰なゆかさんの『アラサーちゃん』と北原みのりさんの『アンアンのセックスできれいになれた?』を読む。

これらに通ずるものは・・女の業というのでしょうか。立てつづけに観ている11月の終わり、編集部A山です。

さて「下着」というものも然り女の業、という紹介の仕方はふさわしくないかもしれませんが、モテる、盛る、谷間、愛されるなどの単語が踊りがちな下着イメージの反対側にとでもいいますでしょうか、そういうところから多少は解放されたい人のための、どちらかといえば「自分の身体と向き合いながらもっとたのしんで着る!」、そんな女性の下着本がcomodoシリーズより好評発売中です。

浅井明子・監修 COMODO編集部・編 

たとえば、いまの季節だと足先やお腹の冷えが気になる人、夏だと汗ジミが気になってしまう人のために、機能的で実用性も兼ね備えた下着があります。
それ以外にも、体質や体型の悩みは人それぞれもっていることでしょう。
体型の悩みを下着で改善することが喜びかどうかはさておき、「似合う下着」とはどのようなものなのかをかんがえるきっかけとして、本書が自分の身体や持ち物やを見直す一助となればうれしいです。

本書『たのしい下着』では、
みんなの下着

  ◎ほかのみんな、たとえば下着選びにこだわる人たちはどういう下着を選んでいるか? どのくらいもっているのか?

下着に関しても衣服のように、好みがはっきりしていて「これ」と決めている方もいらっしゃるでしょうし、縁起をかついで色やデザイン、ブランドを決めている方もいるかもしれません。そのような自分なりのこだわりをもつ人のコレクションをのぞくのもたのしかったりします。
意外と知らない「捨てどき」





◎自分に合った下着はどう見つけるの? どういう着け心地がただしいの?

自己流の方に朗報! スタイリスト・浅井さん指導によるフィットの手ほどきを掲載。



肌にやさしいものを選ぶには?


◎進化する下着、冷えや体質を改善するためのアイテムにはどのようなものがあるの?

肌着として冷えとり靴下、着圧ソックスなども紹介しています。





…などさまざまな方向から心地よい下着選びをかんがえていきます。

また、「アウターに透けない色の組み合わせ」「静電気の起きない肌着の選び方」はじめ、日本における女性下着の先駆者、鴨居洋子さんに関する著作のある近代ナリコさんからも「下着と私」の寄稿あり、医学の見地からとらえた「女性の身体と下着対談」ありのもりだくさんな内容となっております。

「生きる技術!叢書 」ブログを読むためにお越しいただいた方、唐突なテーマと驚かれた方もいるでしょう。ですが「下着」は男女問わず、ほとんどの人が一生身につけ、肌に長い時間直接触れるもの。
下着を見つめなおすことでちょっと快適に、楽に生きる技術を知ることができるかもしれません。

インナーとしての着あわせ・工夫


下着選びに窮屈な思いをしている方、もっといろんな下着を見てみたい方、もちろんあまり興味がなかった方も。

じつは有名メーカー以外にもさまざまなデザイン、機能性に富むたのしい下着があり、選び方や探し方をひと工夫することで、いままでとは異なるかわいい下着に出合う機会を増やすことができます。

この機会に、もっと自由な気持ちで下着を選んでみてはいかがでしょうか。



+++++
最後に、本書監修の浅井明子さんは、ランジェリー・スタイリスト。
インポートランジェリー専門店勤務を経て、フリーに。おもに雑誌の下着企画、監修を通し、国内外の良品を紹介されています。
浅井さんは「一生使うものなんだからとびきりこだわってみてもいいじゃない」そんなコメントを本書の最後にくださっています。



『たのしい下着』、好評発売中です。

2011年11月28日月曜日

年内最後の新刊『メディア化する企業はなぜ強いのか?』

今年6月に刊行開始し、これまで8冊の本を刊行してきました「生きる技術!叢書」、その年内最後の新刊がこれです。小林弘人著『メディア化する企業はなぜ強いのか?──フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識』。11月29日に発売になります。


 著者の小林弘人さんは、インターネット黎明期に「日本版ワイアード」の編集人を務め、その後紙メディアのみならず「ギズモード・ジャパン」などのウェブメディアの立ち上げ、多くの企業メディア、著名人ブログの立ち上げにかかわった、メディア界の仕掛人。2009年に著した『新世紀メディア論──新聞・雑誌が死ぬ前に』では、「誰でもメディア時代」におけるインターネットを通じた情報発信の可能性を説き、旧来メディアである出版・新聞業界に衝撃を与えました。

 また、監修・解説を担当した『フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略』(クリス・アンダーソン著)、『シェア〈共有〉からビジネスを生み出す新戦略』(レイチェル・ボッツマン&ルー・ロジャース著、共にNHK出版)では、これからのビジネスを考えるうえでのキー概念である「フリー」「シェア」の考え方を紹介し、大きな反響を呼んだことは記憶に新しいことと思います。

 その小林さんの満を持しての新作が、この『メディア化する企業はなぜ強いのか?』。インターネットの進化がもたらした環境下で、個人が情報発信することの意義を訴えた前著(曰く、「誰でもメディア宣言」)からうって変わり、今回は「企業向け誰でもメディア宣言」、すなわちビジネスの世界において、企業がメディア化することによってもたらされるポテンシャルについて語った内容。

 「統制」から「移譲」へとコミュニケーションの本質が変わった現在(情報はもはやコントロールできない!)、企業がユーザーと良好な関係性を結ぶためには、企業自らが出版社や放送局のようにメディア化する「メディア化戦略」が求められます。フリー、シェアの手法を駆使しつつ、ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアを活用してコミュニティを形成し、ユーザーと直接つながる「社会に接続された企業」こそが、次代の日本を活性化させると著者は説きます。
 新しい時代のコミュニケーションを模索することは、新しい組織のかたちについて考えること。ビジネスの世界における「新常識」を、本書から読み取ってください。

 ちょうど同時期に、『フリー』『シェア』に続いて小林さんが監修・解説を務めた本、ジェフ・ジャービス著『パブリック──開かれたネットの価値を最大化せよ』がNHK出版より発売になりました。おそらく書店さんのビジネス書コーナーでは、2冊が並んで置かれる光景が見られることと思います。情報をパブリックにすることによってもたらされる価値を共に説く2冊、あわせてご一読いただければと思います。

ほんとうにコワイ! 足の病気について:COMODO『足もとのおしゃれとケア』より


こんにちは。編集部のA山です。
朝の寒さで布団から出るのがつらくなってきました・・。

あと数日で師走。今年も終わりに近づいています。
同時に、いよいよ風も冷たくなり、体の冷えが気になる季節です。

さて、「生きる技術! 叢書ブログ」の庇を借りて、時折紹介しておりますcomodoシリーズからの小ネタ集? ですが、今回は好評発売中の『足もとのおしゃれとケア』より足のトラブル「開張足」について。 
#「革靴の手入れ」についてはコチラ

↓Clickで拡大↓


足のトラブル(監修・永峯医院・永峯由紀子先生)





ハイヒールを履く女性がなりがちな症状ですが、これを放っておくと、ほかの病気に罹りやすくなるので、気がつけば重傷ということにならないよう、症状を知り、気をつけていきましょう。


本書では、このほか外反母趾ハンマートゥ、最近増えているという爪水虫(つめみずむし)などのトラブル解決についても解説していますので、ぜひご参考に。








冷えが気になるという方、靴下重ね履きも足がぽかぽかして心地よいですが、腹巻きや毛糸のパンツもおすすめであります。毛糸のパンツはほんとうに! あったかいのですよ。

先日、comodoから新刊『たのしい下着』を発売したということもあるのですが、こちらの紹介はまた近々。

足もとのおしゃれとケア

2011年11月25日金曜日

トークショー「地雷を踏んで生きる」の模様を

小社刊、小田嶋隆『地雷を踏む勇気』と、内田樹・岩田健太郎・上杉隆・藏本一也・鷲田清一『有事対応コミュニケーション力』の発売を記念して、11月15日にブックファースト新宿店さまで、小田嶋先生と内田先生のトークショー&サイン会が開催されました。

 定員40名の椅子席はすぐに満席となり、立ち見のお客様も多数いらっしゃる盛況ぶりでしたが、その時の模様を、ダイジェストでご紹介いたします。当日ご来場できなかった方々も、その場の雰囲気を感じ取っていただければと思います。



2011年11月22日火曜日

プリンストンでご近所の公共哲学について考える Vol.5

サンデル教授の白熱個人レッスン!
小川仁志



──『日本を再生!ご近所の公共哲学』の小川仁志先生は、現在プリンストン大学に赴任中ですが、かの地でついにマイケル・サンデル教授との対面を果たしました。
 書店さんの哲学の棚では、その著書が並べて売られる光景も見られるお二人ですが、現実においても待望の対話が実現したわけです。その模様、小川先生のブログでご紹介されているレポートを、先生のご厚意で当ブログでも転載させていただきます。サンデル教授の白熱個人レッスン、ご堪能ください。





サンデル教授とさしで対決!?

 『ハーバード白熱教室』でおなじみのマイケル・サンデル教授に会って来ました。1対1でゆっくり話をするのは、もちろん初めてです。今回は取材等ではなく、純粋にアカデミックな議論をしに行きました。

 グローバルに活動を展開しているサンデル教授は、とても忙しい方なのですが、私のために1時間以上も時間を割いて個人レッスンをしてくださいました。アポを取って訪ねてきた学生に「しばらく待ってて」といって、延長する白熱ぶり。もちろん、サンデル教授のレッスンは、半分くらいこっちがしゃべらされるわけですが。テーマはユニバーサルなヴァーチュー(「徳」のことです)について。

 実は私の今取り組んでいるテーマがユニバーサル・ヴァーチューズなのです。グローバル・ヴァーチューズといってもいいのですが、ユニバーサルのほうが、少し射程が長くなるように感じています。サンデル教授は同じ内容のことをユニバーサル・バリューズ(普遍的な価値)と呼んでいます。ただ、今回はお互いに「グローバルな徳」と表現を統一して話を進めました。ほぼ内容が重なるためです。

 つまり、今この世界には、戦争や飢餓、あるいは環境問題などのグローバルな問題を解決するために、共通にシェアすべき徳、すなわちグローバルな徳が求められています。にもかかわらず、それがいったい何を指すのか、そしてどうすれば育んでいけるのか、十分な議論がなされていないのです。

 これについては、もともとは師匠であるスティーヴン・マセド教授の『リベラル・ヴァーチューズ(リベラルな徳)』をグローバルな次元で展開しようと思っていたのですが、やはり共同体の意義を重視する私としては、リベラルのマセド教授のほかに、コミュニタリアンの意見も聞いてみたいという思いがありました。そこで、コミュニタリアンの立場から、グローバルな徳に言及する稀有な論者!?ともいえるサンデル教授に教えを請いに行ったのです。ちなみに彼は閉鎖的なコミュニタリアンと誤解されることを嫌い、自分のことを共和主義者だともいいますが、開かれたコミュニタリアンという意味では間違いなくコミュニタリアンです。今日も議論の冒頭でそれを確認しておきました。

コミュニタリアンはグローバルたりえるか?

 それにしても、そもそも共同体における価値を重視するコミュニタリアンが、はたしてグローバルな徳を肯定しうるのでしょうか? コスモポリタンのように、人間の価値を最重要視するなら、共同体の価値は副次的なものとなります。ですから、コスモポリタンは、国家の垣根を越えて救いの手を差し伸べることを正当化できるのです。

 これに関するサンデル教授の答えはこうです。彼は、コミュニタリアンであっても、ユニバーサリズム(普遍主義)とは両立可能だといいます。つまり、困っている人を助けるという共同体の価値や徳は、共同体の垣根を越えて妥当するということです。問題は、それが自分たちの共同体の存立を脅かすような場合にも妥当するかどうかです。

 サンデル教授はいつものように例を出しました。飢えている家族がパン一つしか有していない時、同じく飢えている外部の人にあげるかどうかを、コイントスで決めるべきだろうかと。そして、「そんな父親を君は尊敬できるか?」と詰め寄られました。コスモポリタンならコイントスで決めるかもしれません。人間は皆同じ価値を有しているのですから。しかし、コミュニタリアンは家族を優先します。なぜなら家族の成員同士には互いにオブリゲーション(負っているもの、責務)があるからです。現にサンデル教授はそういっていました。

 これがコスモポリタンとコミュニタリアンの違いだといいます。コスモポリタンは、抽象的な人間を想定して議論している点に問題があるのです。アフリカで飢えている「誰か」は、私たちの家族とは異なる抽象的な人物なのです。ところが、私の立場はサンデル教授とは異なります。同じコミュニタリアンでも、私はこの場合コイントスをするべきだと考えています。

 たとえば、自分の父親が、災害時に食料を配給する職についていたとしましょう。にもかかわらず、その父親が、困っている他人を見捨てて、自分の子どものためにその食料を家に持ち帰ったとしたらどうでしょうか? そんな父親を尊敬できますか? サンデル教授は、私の立場には新しいカテゴリーが必要だといっていました。私もそう思います。いわば「コスモポリタン・コミュニタリアニズム」とでもいいましょうか。サンデル教授はこの名称に受けていましたが(なお、これをひっくり返して「コミュニタリアン・コスモポリタニズム」について論じている人はいます)。

グローバルな徳を共有するために

 私の立場と単なるコスモポリタンとどこが違うかといいますと、グローバルな徳が育まれるプロセスが異なるのです。コミュニタリアニズムを前提に、グローバルな徳を論じる私やサンデル教授の場合、コミュニティにおいて徳が育まれるプロセスを重視します。つまり、グローバルな徳は、予め用意されていて押しつけるものではなく、育む対象なのです。

 では、どのような徳をどう育めばいいのでしょうか? サンデル教授は、グローバルな徳のカタログを列挙するのは難しいといっていました。そこで、私が特に重要と考える、「寛容」と「連帯」はどうかと尋ねると、それはいいと賛成してくれました。ただし、たとえば寛容とは何かが問題になるがという留保付きで。そこでまたサンデル教授の問いかけが始まったのです。

 「どうすれば人種差別的なヘイトスピーチに寛容でいられるのか?」と。私は次のように答えました。「相手も寛容であるなら、私も寛容でいられます。そうすれば、論理的には相手はヘイトスピーチを差し控えることになるからです」と。サンデル教授はまた大笑いしてくれました。そして、「ムハンマド風刺画事件(デンマークのタブロイド紙がイスラームで禁じられているムハンマドの顔を描いた風刺画を掲載した事件)」の例を引いて原理は同じだというと、たしかに理屈は同じだと賛同してくれました。実際には、この場合イスラーム圏の人たちに寛容を要求するのは難しいわけですが。

 そこで、どうすれば寛容を、すなわちグローバルな徳を育むことができるのかが問われてきます。異なる文化をもつ異なる共同体で育つ人たちが、それでも同じ徳を抱くようにするためにはどうすればいいのか。私自身は共通の経験が重要だと考えています。同じ人間ですから、同じ徳を育むには、同じ経験をすればいいからです。サンデル教授の考えも基本的には同じです。彼は、家族や学校だけでなく、社会におけるモラル教育が大事だといっていました。それをシビック・プロジェクトと呼んでいました。

 しかし、国家の垣根を越えてこれを行うためには、グローバルな教育が不可欠になってきます。市民を他の文化に晒すこと。しかも教育という明確な形で。これがサンデル教授の意見です。その担い手としては、もちろん国連や大学が考えられます。サンデル教授が強調していたのは、そのための機関の創設です。ネットワークでもいいのですが、新たな制度が必要だと強調します。そして、サンデル教授が実践している「グローバル・クラス(世界の大学などを中継でつないで議論する試み)」も、そうしたグローバルな徳を育むための方法の一つだといっていました。実際、留学生の交換を支援しているNGOや財団もあります。そういう動きを加速させ、組織化していく必要性があるということでしょう。

 最後にサンデル教授は、来年新著『What Money Can’t Buy(お金で買えないもの)』の刊行を記念して講義にいった際には、君を当てるから覚悟しておくようにといっていました。この本の中でも、今日の話のエッセンスに言及しているそうです。

 今回話をしてみて、サンデル教授と私の方向性がほぼ一致していることが確認できたと同時に、少なからず私の議論の独自性も明らかになりました。ぜひそのへんをまとめて、帰国後発表したいと思っています。サンデル教授、白熱した個人レッスンをありがとうございました!

2011年11月17日木曜日

「生きる技術!叢書」「星海社新書」共同フェア、あおい書店町田店さんにて!(11/16~)



最終講義』の内田樹先生と『地雷を踏む勇気』の小田嶋隆さんの色紙とともに、「生きる技術!叢書」が、あおい書店町田店さんに勢揃い!

おかげさまで最新刊『地雷を踏む勇気』『有事対応コミュニケーション力』がご好評いただいている「生きる技術!叢書」ですが、このたび個性的なフェアを行うことで有名なあおい書店町田店さんで、「生きる技術!叢書」「星海社新書」共同フェアを行っていただいております。

「生きる技術!叢書」につきましては今までのラインナップ、

最終講義―生き延びるための六講』(内田樹)
キッパリ生きる!仏教生活 ― すこやかであるための仏教メソッド』(釈徹宗)
日本を再生!ご近所の公共哲学―自治会から地球の裏側の問題まで』(小川仁志)
自分イノベーション―問題発見・解決の究極メソッド』(林志行)
ロングトレイルという冒険――「歩く旅」こそぼくの人生』(加藤則芳)
ためらいのリアル医療倫理―命の価値は等しいか?』(岩田健太郎)
地雷を踏む勇気』(小田嶋隆)
有事対応コミュニケーション力』(岩田健太郎、上杉隆、内田樹、藏本一也、鷲田清一)

をずらりと並べていただいております。

ベストセラー驀進中の「星海社新書」さんとともに、この時代を生きるための人文系“実用書”「生きる技術!叢書」を、ぜひ店頭でお手にとっていただけましたら幸いです!

(過去の話になりますが、星海社新書編集長と鼎談はこちら)。

2011年11月6日日曜日

実用書が続々と

先日A山よりアナウンスがありましたように、技術評論社第3・第4編集部より、新しく趣味実用の「COMODO」シリーズが刊行になりました。

小社では、所属編集部の枠にとらわれずプロジェクトごとにチームが作られ(A山とA藤は組織上は別の班に所属)、人によっては複数のプロジェクトに参加していたりするのですが(複数のポジションをこなすことを要求される現代サッカーのように)、A山は「チーム生きる」に参加しつつ単独で「COMODO」をスタートさせるという、左サイドバックとワントップのフォワードを兼任するみたいなありえへんマルチポジションをこなすプレイヤーです。

A藤は、本は基本的に実用的なものだと考えています。小社のメインストリームであるプログラミング書やソフトウェアの解説書、スマホのトリセツなどと同様、哲学・思想書、宗教書から時事的なコラムなども「知性にキックを入れ」たり、新しい世界に目をむけさせてくれることにおいて実用的なものであると考えて、「生きる技術!」を編集しています。

そうした「実用的知識」の伝え方は多彩であるべきであり、その手法においては工夫がこらされるべきであるとも考えます。その意味において、「COMODO」と「生きる技術!叢書」は、一見脈絡ないようでいて実は地下茎でつながったものです。この地下茎が、どこまで広がっていくものか。両シリーズとも、ご愛顧のほどよろしくお願いする次第です。

2011年11月4日金曜日

不肖A藤が、星海社新書編集長と鼎談

いささか旧聞にぞくするお話で恐縮ですが、いま巷で話題の星海社新書 塾長・副塾長のお二人と、不肖A藤が鼎談させていただきました

年齢差20歳くらいの2組にもかかわらず、お互い共通の志を確認できて、非常にありがたい機会を頂戴したものと感謝しております。

「武器としての決断思考」など、軒並みベストセラーでスタートを切った「星海社新書」にくらべ、A藤の「生きる技術!叢書」はあくまで低空飛行のフライトですが、若者たちに負けないように、今後も尽力する次第ですので、ご声援よろしくお願いいたします。

なお、ただいまあおい書店町田店さまで、「星海社新書」と「生きる技術!叢書」の共同フェアを開催中計画中です。ご興味のある読者さま、あるいは同様のフェアを考えたい書店さま、お気軽にご相談ください。

今後、出版社の「縦割り行政」に風穴をあけるべく、版元横断のフェア企画なども考えたいと思っておりますので、ご期待のほど。

11月の新刊は「こばへん」の力作

おかげさまでご好評をいただいております「生きる技術!叢書」の11月の新刊は、インフォバーンCEO小林弘人著『メディア化する企業はなぜ強いのか? フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識』です。

『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』、さらには今月末に刊行予定の『パブリック 開かれたネットの価値を最大化せよ』の監修・解説を担当し、日本の出版界でフリーミニアム戦略を強烈に印象づけたWebビジネス業界の寵児、小林弘人さんの、『新世紀メディア論』に続く満を持しての書き下ろし新作です。これからのビジネスのカギを握る「メディア化戦略」とは何か? その秘密がぎっしり詰まった一冊。この本によって、日本のメディアビジネスが一変するかもしれません。ご期待ください。

今回もすばらしいASYLの装丁は、近々お見せできると思いますので、こちらも乞うご期待!

発売4日目にしてダブル重版決定!

11月1日発売になりました、「生きる技術!叢書」の新刊、小田嶋隆『地雷を踏む勇気』と、内田樹・上杉隆・岩田健太郎・鷲田清一・蔵本一也著『有事対応コミュニケーション力』の重版が、発売4日目にして決まりました。みなさまのご愛顧に感謝いたします。

ただいま、書店さまの追加注文には応じにくい状況ですが、今月16日には重版分が出来上がりますので、その後は出荷できますので、よろしければご注文のほど、よろしくお願いいたします。

革靴の手入れ:COMODO『足もとのおしゃれとケア』より

今回も「生きる技術!叢書」の庇を借りまして、本日はCOMODOシリーズ・ケアブックより10月に発売された『足もとのおしゃれとケア』(COMODO編集部・編)のご紹介です。 →シリーズ・COMODOの紹介はコチラ

『足もとのおしゃれとケア』は、ファッションデザイナー、料理家をはじめ、さまざまな方たちの足もとの取材して靴や靴下などのこだわり、保管のこつ、選ぶ秘訣を教えていただきました。
さらには、自分にぴったりな靴の見つけ方、長く靴を履くための手入れ、さらには足の病気についてなど、足もとまわりのあれやこれやを1冊にまとめた、実用性もありながら、読みものとしてもたのしめる書籍です。

今日は、第2章より「革靴の手入れ」を一部掲載します。


とつぜんですが、

秋も深まってきたこの頃、衣替えと同時に「しまっておいた革靴をひさしぶりに履こう」と思ったら、手入れをしておらず古びてる・・なんかカサカサしている・・

そんなときにはどういうケアをするのが適切かご存知ですか?

また、毎日のように革靴を履く方、ケアはしっかりできていますか?




革靴は毎日ではなくともケアを行うことで、何年も何十年も履くことができるのです。

気に入って履いているのに、革の味が出ないうちにダメになるのはなんとももったいない。すべての靴の手入れの基本として、「革靴のお手入れ」をぜひとも参考にしてみてください。

↓Clickで拡大↓
革靴の手入れ(監修・靴修理工房グルー)

本書では、このほかアウトドアシューズやエナメル、スニーカーなどの手入れも掲載しています。

*来週は、「ほんとうはコワイ! 足の病気について」を紹介予定です。

2011年11月3日木曜日

COMODO・創刊のご案内

こんにちは。編集部のA山です。

A藤率いる「生きる技術! 叢書」チームに属するA山ですが、この秋から趣味実用シリーズ「COMODO」*を立ち上げました。

「COMODO」では、衣食住を軸とするさまざまなスタイルや手段を紹介します。
生きるための手がかりとして、ふとしたときに参照できる、暮らしの工夫や知恵のあれこれをまとめたシリーズです。
いわば「女性のための、生きる技術! 叢書」といったところですが、もちろんそんな性差にこだわらずとも、誰でも読んで役に立つ暮らしの知恵が満載です。ぜひ書店でみかけたらお手にとってください!

当ブログでも季節に合わせた“まめ知識”や取材メモをたまにお届けしますので、「生きる技術! 叢書」とあわせて、よろしくおねがいいたします。

                                COMODO編集部 *COMODO(伊)……気楽に、落ち着く


【COMODOには2つのラインがあります】

 ・COMODOケアブック 流行にとらわれず、ていねいに探す、使う、手入れする方法いろいろ 

 
 ・COMODOライフブック
日々の生きかた、考えかたのものさしになるような読み物・エッセイ

2011年10月31日月曜日

10月の見本その2 『有事対応コミュニケーション力』

 10月見本のもう一冊は(11月1日発売)、岩田健太郎・上杉隆・内田樹・藏本一也・鷲田清一による共著『有事対応コミュニケーション力』。こちらは、上記のメンバーによる、災害時のコミュニケーションとリスク管理をテーマとしたチャリティシンポジウムの記録をまとめたもの。


迫力のあるデザインはシリーズ通してお願いしているASYL


 独立系ジャーナリストと哲学者と臨床医と武道家とリスク管理研究者が一堂に会して、災害時におけるコミュニケーションのあり方について語る機会というのは、なかなかないものであり、その組み合わせの妙が本のひとつの売りであります。

 「これからの日本人はみな放射能と一緒に暮らしていくしかない」という上杉さんの重い発言も、岩田先生の非常時の現場における寡黙さについての発言も、鷲田先生が提示する我々の生活をささえてきた基盤そのものに対する疑義も、内田先生の情報の格差化・階層化にたいする懸念も、藏本先生の指摘する大企業の情報公開の甘さも、みなそれぞれ説得力があります。
 本の性格上、議論を重ねたうえでなんらかの提言をまとめるというものではありませんが、各人の発言のなかに読者の方それぞれが自らのものとしてすくい取れる部分があれば、それを生活の現場においていかしていっていただければと思います。

 なお、本書の印税は、震災復興の義捐金にあてられます。

10月の見本その1『地雷を踏む勇気』

 「生きる技術!叢書」10月見本の2冊のご案内です。(発売は11月1日)

 まず一冊目は、小田嶋隆さん著『地雷を踏む勇気』です。


強烈な印象の装画は、杉浦茂先生の作品『ミフネ』から

 担当編集者A藤は、80年代頃にパソコン関係の出版に携わった編集者にありがちな話ですが、小田嶋さんの約20年前の著書『我が心はICにあらず』にガツンとやられたクチです。当時、テクニカルな実用情報を伝えるのみだったパソコン書の世界に、突如カルチャー世界のスピリットを持ち込んだ小田嶋さんのこのエッセイ集を読んで、パソコン的なるものがもたらす可能性の裾野の広さに目をひらかされ、以来デジタルを軸にして様々な分野のアイテムをつなげてみるとどうなるか?……という観点から本を作るのが、一時期のA藤のポリシーのひとつとなったのでした(20年ほど前のお話)。

 爾来、小田嶋さんを「悪い兄貴」のような存在としてリスペクトし、その本を愛読してきつつも、これまで一度も編集担当としてご一緒する機会がなかったA藤にとっては、いわば満願かなっての一冊であります。

 内容は、「日経ビジネスオンライン」で高い人気を誇る連載「ア・ピース・オブ・警句」からのコンピレーション・エッセイ集。
 もともと「この連載を毎週楽しみにしている」という声を、A藤の周囲でもよく聞くくらい質の高いコラム連載だったのですが、ことに3.11の震災以降グッとテンションが上がり、その切れ味は凄味さえ感じさせるものになっています。

 大津波の惨状を目の当たりにしての絶望感も、いつまでも収束が見えない原発事故についての不安も、東電や政府の不誠実な対応への怒りも、圧力をもってして人をねじふせようとする輩に対する異議も、そして危機的な状況における言葉の力への信頼も、みな小田嶋さんがこのコラムで代弁してくれていました。3.11以降の不安な日々を過ごす間、この連載にA藤はどれほど助けられたかわかりません。

 でも、これはA藤の勝手な思い入れであって、小田嶋さんに面と向かってそんなことを言ったならば、「いや、俺はただコラム書いているだけだから」と軽くいなされるにちがいありません。そこがまたcool。
 小田嶋さん、この本についてもしインタビューを受ける機会があったら、このセリフ言ってください。「たかがコラムだけど、俺は好きだね」

 というわけで、人生の座右の銘がぎっしりつまった珠玉のエッセイ集。ぜひご一読ください。

 なお、同じ「ア・ピース・オブ・警句」をリソースとしたエッセイ集が、日経BP社からもほぼ同時(2週間遅れ)で発売予定です。タイトルは『その「正義」があぶない。』こちらもごひいきに。

2011年10月13日木曜日

好評につきフェア期間延長

 先日このブログでもお知らせしました、ブックファースト新宿店さまで開催中の「『最終講義』を読んだ若い読者のための60冊」フェアですが、販売好調につきフェア期間が延長になりました。10月21日まで開催中ですので、ぜひ足をお運びください。

 どんな本が選ばれているか……の情報は、先生のブログで先日公開されましたので、こちらもご参照のほどを。「もうフェアは終わってしまい」とあるのはご愛敬ということで。



半日くらいその前で過ごせそうな本棚。椅子があったら読みふけっちゃいますね。

『ためらいのリアル医療倫理』『ご近所の公共哲学』の紹介が

 10月発売の新刊、岩田健太郎先生の『ためらいのリアル医療倫理』が、「週刊ポスト」10/27号で紹介されました。評者は精神科医の香山リカさん。千字に満たない短い紹介ながら、「私は、きちんとためらえるのか」と自問で結ぶあたりに、同じく医療・言論の現場に立つ強い当事者意識が見え、香山さんらしい納得の紹介でした。


 もうひとつ、6月に発売になりました小川仁志先生の『日本を再生!ご近所の公共哲学』が、住友生命が発行し無料配布している本の情報誌「スミセイベストブック」11月号で紹介されています。3頁にわたっての紹介の最後には、小川先生ご自身による以下のメッセージも掲載されています。



 私は今アメリカで公共哲学の研究をしています。こちらに来て改めて感じるのは、日本のご近所の素晴らしさです。アメリカは基本的に個人主義の国ですから、ご近所のつき合いは表面的なものになりがちです。しかし、日本のご近所には、それにとどまらない温かさを感じるのです。長引く景気の低迷や大震災の被害と立ち向かうには、一人ひとりがもっと世の中に関心をもつことで、ご近所がもつ温かさを「熱い力」に変えていく必要があります。拙著がそのための手引きになると幸いです。

 ひきつづき、ご愛顧のほどを。

2011年9月21日水曜日

ブックファースト新宿店さんで内田先生の本棚開催中

 ただいまブックファースト新宿店さまでは、内田樹先生『最終講義』の刊行を記念して(ちと遅くてスミマセン)、内田先生によるオススメ本60冊を展示販売する、「『最終講義』を読んだ若い読者のための60冊」フェアを開催中です。

 このフェアは、

・「日本および日本人論」として読むべき本
・現代日本とはずいぶん離れたところにいる人たちに共感するためのレッスン本
・知性にキックを入れるために読む本

 という、内田先生ご考案の3つのジャンルごとに、若い読者に読んでもらいたい本合計60冊を選んでいただくというもの。会場は、先生お得意のネコマンガ付きサイン色紙も展示され、なごやかな雰囲気でありながらも、読みごたえ・歯ごたえ十分の本が並ぶ圧巻の空間になっています。


写真が暗くてスミマセン~


 ではそのラインナップの中身は……、こちらはぜひ現地に足をお運びになって、どんな本がオススメになっているものか、ご自分の目でお確かめになっていただければと思います。きっとたのしい時間が過ごせると思いますよ。

 この内田先生の本棚、10月15日まで開催されています。

2011年9月14日水曜日

『ためらいのリアル医療倫理』見本できました!

 先日、このブログで予告しました9月の新刊、岩田健太郎著『ためらいのリアル医療倫理』の見本誌が出来上がりました。
 このシリーズ全体のデザインを担当していただいているASYLさんと、今回は写真家の川瀬一絵さんのコラボレーションで、ご覧のようにすばらしい装幀になりました。



 「医療倫理って何?」という読者の方もいらっしゃると思いますが、たとえば、安楽死は許されるか、人工中絶は是か非か、遺伝的な疾患等の情報はどこまで開示されるべきか、などといった〈いのち〉にかかわる判断について倫理的に考えようというもので、言ってみれば「医療における正しさとは何か」を問うものです。

 実はこの医療倫理についての議論は、どちらが正しくてどちらが間違っているかのディベート合戦になりがちなのですが(マイケル・サンデル先生のように)、著者の岩田先生はそこに「ためらい」の姿勢を持ち込むことによって、不毛な二元論からの離脱を試みます。

 「医者はしばしば自分たちの正しさを強く主張します。ときに強く主張『しすぎること』もあります。人間の生命という大切なものを扱っている医療者ですから、確かにその言葉は真剣です。しかし、ともするとそのような大切な命を預かっているという錦の御旗が、『俺達は医療をやっているんだから』という強気の発言、断言口調を導くことがあります。本当は、命のような大切なものを扱っているにもかかわらず、いや扱っているからこそ、断言口調をできるだけ避け、『ためらいの』口調をもつことが必要なのですが。」(本文より)


 たとえばマイケル・サンデルの「白熱教室」では、

 「路面電車の運転手。直進すれば5人の作業員をはねるが、待避線に行けば1人をはねればすむ。そのときハンドルを切るべきか」

 といった命題のもとに、「正義」とは何かといった議論が展開されるわけですが、こうした命題はたしかに刺激的で興味はひかれるものの、あくまでそれはディベートのために設定されたフィクションという印象です。それに対し著者の岩田先生は、あくまで医療のリアルな現場に立ち位置を構え、具体的な患者やその家族関係、彼・彼女らが置かれている環境を踏まえたうえで、問題と向き合うことを主張します。思考実験では簡単に下せる判断も、生身の人間と現実を前にしてはそうそう簡単には正否の判断は下せない。そこでは「おずおずと、ためらいの口調をもって」向き合う姿勢が必要になってくるのです。

 といっても、本書は堅苦しい読み物ではありません。3.11の大震災で家も家族も失い「どうせ生きていたってしょうがない」とつぶやく壮年の男性に対し、かけるべき言葉を見いだせなかったという体験談からスタートする本書は、一篇のよく練られたロードムービーを観るかのような読書体験のうちに(著者はビートルズの『アビイ・ロード』をイメージしたと言っています)、読者をめくるめく哲学的思索の世界へといざなってくれます。ぜひともご一読のほどを。9月23日発売です。

2011年9月1日木曜日

『最終講義』が週刊朝日で紹介


 内田樹先生の『最終講義』が、「週刊朝日」9/9号で紹介されました。

「週刊朝日」2011年9月9日号

 そうなんです。いろいろ読みどころがあるこの『最終講義』ですが、最終章におさめられている、「日本人はなぜユダヤ人に関心をもつのか」では、ユダヤ学研究者として研究に没頭していた時期の若き内田先生のインサイドストーリーが語られていて、貴重な記録となっています。

 目標がはるか上にある人は目がキラキラしていて優しい、というお話など、なにげないですけど心を動かされるものがあります。未読の方はこの機会にぜひとも。

2011年8月26日金曜日

『ご近所の公共哲学』が公明新聞で紹介されました


 小川仁志先生の『日本を再生!ご近所の公共哲学』が、8月22日付公明新聞の書評欄で紹介されました。ご高評いただいたのは、大阪大学大学院 臨床哲学研究室の中岡成文先生です。中岡先生、ありがとうございました。

公明新聞2011年8月22日書評面より

 ここに書かれてありますように、中岡先生と小川先生が、地元徳山での哲学カフェで対話……ということになったら、とても素敵だと思います。小川先生がプリンストンからお戻りになった暁には、ぜひ実現しますことを。

2011年8月25日木曜日

9月新刊の予告です

 「生きる技術!叢書」、9月の新刊の予告です。

 今回お届いたします本は、岩田健太郎著『ためらいのリアル医療倫理』。
 このタイトルをみてピンとこられた方、かなりの「タツラー」とお見受けしました。
 そうです、このタイトルは、内田樹先生の物書きとしてのデビュー作、『ためらいの倫理学』からいただいたもので、

   自分の正しさを雄弁に主張できる知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性のほうが、
  私は好きだ。(内田樹『ためらいの倫理学』)

という「ためらいの姿勢」を、正しい・正しくない、白か黒かの二元論でつい語られがちな医療の分野にあてはめて、考察してみようというものです。

 著者の岩田健太郎先生は、神戸大学大学院医学研究科の感染症医で、数多くの医学専門書のほか、最近は『「患者様」が医療を壊す』『予防接種は「効く」のか?』などの医療系読み物も手掛けられている駿英。内田先生の『最終講義』のなかでも、「ブーンという回転音が聞こえる」くらい頭の回転が早い人の一人として、登場されています。

 今回、帯文をご本家の内田先生にお願いしているのですが、一足先にゲラを一通り読まれた先生より、下記のようなツイートをいただきました。


 もちろん、担当編集者 A藤も、その面白さについては太鼓判を押させていただきます。

 現在、編集の追い込み作業を鋭意続行中ですが、ブックデザインなども確定しましたら、もう少しくわしい情報とともにお知らせするとして、とりあえず第一報アナウンスさせていただきました。9月23日発売予定です。ご期待ください。

2011年8月15日月曜日

プリンストンでご近所の公共哲学について考える Vol.4

シェルドン・ガロンに聞く、ご近所の公共哲学!
小川仁志



──小川先生のプリンストンレポート第四回は、歴史学者のシェルドン・ガロン教授との対話。日本が長期債務を克服し、今後も世界から尊敬される国であり続けるための、ガロン教授が考える二つの方策とは?


 今回は歴史学者シェルドン・ガロン(Sheldon Garon)教授との対話です。彼は一貫して日本の現代史を研究してきた人物です。とりわけ戦後日本の奇跡的な復興と経済発展に関心をもっています。日本の成長は、よく働き、かつ節約に心がける日本人特有のメンタリティがプラスに働いたためだと見ているようです。さて、そんなガロンは、ご近所の公共哲学についてどんな反応を示すのでしょうか。

■日本のご近所は「ソーシャル・マネジメント」

 まず尋ねてみたのは、日本社会におけるご近所の特徴についてです。驚いたのは、彼の分析によると、ご近所は何も日本に特有のものではなく、とりわけヨーロッパの街には日本のご近所に似た密なコミュニティがたくさんあるという点です。むしろ例外はアメリカぐらいだそうです。

 しかしその中でも、政府のかかわり方が強いために、よく統制がとれているという点において、日本のご近所は傑出しているといいます。それは3.11の大津波とハリケーンカトリーナの対応の違いを見れば明らかだというのです。つまり、日本では、津波の後ご近所の助け合いが目につきました。町内会できちんと名簿をつくっているため、誰がいないのかよく把握しているというのです。しかも、そうした災害時用の名簿は行政主導で整備されているのです。他方で、カトリーナの時はそういうものもきちんと整備されておらず、混乱したそうです。

 彼はこうした官製のご近所のことを「ソーシャル・マネジメント」と呼んでいます。それは、官の意向を受けて、統率のとれた指揮命令系統の中で働くご近所の人たちを指しています。つまり、ガロンにいわせると、日本の社会は何から何まで官が手とり足とり面倒を見ているというのです。民生委員はもちろんのこと、本来官がかかわるべきでないボランティアでさえ官製だと揶揄していました。

戦後日本の奇跡的な復興に関心を持つガロン教授

 しかし、無縁社会をはじめ、そんなご近所が今機能不全に陥っているのは事実です。彼にそのことについてどう思うか聞いてみたところ、都会は別として、田舎では十分機能しているほうだという返事が返ってきました。

 反対に都会ではどうすればいいと思うか聞かれたので、コミュニティを活性化するための最低限の相互扶助について持論を展開しました。すると即座に、「これまで政府が町内会を活性化しようとしてやってきた試みとどう違うのか?」「何がきっかけでそれが可能になるのか?」「行政なしでできるか?」といった質問が矢継ぎ早に返って来ました。

 これらに対する私の返答は次のようなものです。つまり、これまでの行政の要求はハードルが高すぎたのが間違いだと思うのです。また、行政なしでも市民社会のリーダーたちが立ち上がれば活性化は可能だと考えています。そのために、私自身も活動をしているわけです。

■too closed, too old.

 ここで、ガロンに日本の長期債務についても聞いてみました。倹約をし、奇跡的な経済成長を成し遂げたはずの素晴らしい日本社会が、どうして800兆円を越える長期債務に苦しんでいるのか。ガロンの見解はこうです。彼によると、よく統制されているという点とトレードオフ関係にある受動性、孤立性、閉鎖性が問題だといいます。

 つまり、新しいものを取り入れようとしないことで、時代の変化に対応できず、若者のチャンスも奪っているというわけです。さらに、頑なに移民を受け入れないことで、社会が行き詰まってしまっているとも見ています。

 では、どうすればいいのか? 率直に尋ねてみました。日本がこの長期債務を克服し、今後も尊敬される国であり続けるにはどうすればいいのか。ガロンは二つあるといって次のように答えてくれました。

 まず先ほども出てきたように、良質な移民を受け入れることを真剣に考えるべきだということです。スキルの高い移民によって労働力を補い、社会を活性化するという意見です。陸続きのヨーロッパと異なり、島国の日本は違法な移民をコントロールできるはずだともいっていました。もう一つは、女性が働きながら子どもを産めるシステムを機能させることだといいます。今の男女共同参画は絵に描いた餅で、まだまだ日本の女性は縛られていると見ています。

ガロン教授との対話

 70年代、かつて彼が若かりし頃日本社会を見た時は、皆走っているように見えたといいます。しかし、今はあまりにも落ち着いてしまっているというのです。”too closed, too old.(閉鎖的過ぎ、古過ぎ)” が今の日本の印象だそうです。何とも厳しい意見ですが、おそらく事実なのでしょう。

 最後に、「それでも日本はいい国だと思いますか?」と尋ねると、ガロンは「とんでもない。いい国じゃなくて偉大な国だ」とほほ笑んでくれました。日本が本当に偉大な国になるために何ができるのか、改めて考えさせられたひと時でした。



2011年8月2日火曜日

シリーズ丸ごとご紹介いただきましたの巻


日経新聞(2011/7/31付)で、「専門的な内容を扱いながら、日々の生活に取り入れることができるようなつくりになっている」と、『生きる技術!叢書』をご紹介いただきました、ありがとうございます!


シリーズ第一弾が哲学、宗教ときて、第二弾が、ビジネスに即使える実践的自己変革講座、そして、山歩きの魅力から生きることの本質をつかみ出す冒険の書、の2冊となっている当シリーズですが、この領域横断スタイルを貫いた挙げ句どこまで行ってしまうのか? をぜひ皆さまにお楽しみいただけたら幸いと思います。

第2弾好評発売中です!

2011年7月27日水曜日

シリーズ第二弾のご紹介 その2


「生きる技術!叢書」第二弾の二冊、
『自分イノベーション』
『ロングトレイルという冒険』
は明日、7月28日(木)発売です。

先日、担当から『自分イノベーション』(林志行・著)を紹介させていただきましたが、
本日は、もう一冊の『ロングトレイルという冒険――「歩く」旅こそぼくの人生』(加藤則芳・著)についてお話させていただきます。

店頭でみると、もうちょっとハッキリ鮮やかなカバーです。

本書の著者・加藤則芳氏は、自らを「バックパッカー」と称し、世界各地を歩きながらアウトドア・フィールドの紹介や自然保護に関する活動を主とされています。バックパッキングとは、<ヒッチハイクをして各地を放浪する>という日本的な意味ではなく、<必要最小限の生活道具一式を担ぎ、自然回帰を目的として生きる>アメリカ発祥の思想。

それを体現するバックパッカーとしての著者による、自然のなかに何日、何ヵ月も身を置き、歩きとおす、そのスピードのなかに見出す生き方や実践が本書にはこめられています。

主なフィールドは、アメリカ。雄大な自然を謳歌できる広大な国立公園などがよく知られていますが、この国には世界的に有名な三大ロングトレイルがあります。340キロにわたり自然の風景展開を楽しみ歩くジョン・ミューア・トレイル、ヨーロッパ系の移民にとって聖地巡礼の意味をもつアパラチアン・トレイル、ロッキー山脈主脈部をたどる最長5200キロトレイル、コンチネンタル・ディバイド・トレイル。

本書では、多くの人を魅了してやまない、これらロングトレイルをはじめとしたさまざまな縦走の体験と風景、自然の奥深さを著者は伝え、そして日本でも胎動をはじめたトレイルの魅力を自らの体験を基に紹介していきます。

また、ノースフェイス、グレゴリーやL.L.Bean、ケルティーほか、アウトドアブランドの装備(だれもがひとつは持っているアイテムではないでしょうか??)に宿る精神というさまざまな人々がつないできた思い、さらには尾瀬、小笠原をはじめとする日本の国立公園の歩き方や実践的森歩きのコツも描かれます。

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頂上をめざす登山とは異なる趣きの「ロングトレイル」ならではの山や森の楽しみ、醍醐味を第一人者のことばで堪能してみてはいかがでしょうか??

そして、真夏のいまこそ、日焼けをおそれず1人で家族で、山へ森へ、そして荒野へと足を向けてみませんか?

◎加藤則芳氏オフィシャルサイト
[Backpacker's Almanac]

編集部A山

2011年7月24日日曜日

プリンストンでご近所の公共哲学について考える Vol.3


エイミー・ボロヴォイに聞く、ご近所の公共哲学!
小川仁志

──小川先生のプリンストンレポート第三回。今回は文化人類学者、エイミー・ボロヴォイとの対話です。哲学と文化人類学、アプローチは異なるお二人の目指すところに、はたして一致点はあるのか?


 今回は文化人類学者のエイミー・ボロヴォイ(Amy Borovoy)との対話をご紹介したいと思います。ボロヴォイはプリンストン大学の東アジア研究所の准教授なのですが、大学きっての日本通として有名です。実は今回彼女と対話をする前に、何人もの人から紹介を受けていました。もちろん日本での留学経験も豊富で、日本語も堪能です。

エイミー・ボロヴォイとご近所について語る

 彼女を有名にしたのは、『The Too-Good Wife(良すぎる妻)』というタイトルの著書です。これは日本の妻を通して、戦後日本の社会を分析した良書といえます。そんな彼女が現在取り組んでいるのは、なんと日本のコミュニティ分析なのです。それを聞いて、どうして誰もが彼女を紹介してくれようとしたのかよくわかりました。

 そんなボロヴォイと、例のごとく『日本を再生!ご近所の公共哲学』片手に、公共哲学してみました。まずボロヴォイがコメントしたのは、ご近所にこだわるというのが、いかにも日本的だという点です。たしかにアメリカ人は個人主義で有名ですから、あまりご近所を重視しているとはいえません。ただ、この本の中でも触れているのですが、2001年の同時多発テロの際、アメリカは国中がご近所のようになって助け合ったはずです。それ以来、ご近所の大切さに気づいたはずではなかったでしょうか。そのように問いかけると、ボロヴォイは、「1週間ほどはね」と返してきました。

 それでも引き下がることのできない私は、ロバート・D・パットナムの『孤独なボウリング──米国コミュニティの崩壊と再生』という本を引き合いに、アメリカでもコミュニティの再生が求められているという主張を繰り返しました。つまり、昔はコミュニティ対抗で行われていたボウリングが、今では個人が楽しむスポーツになってしまっていることからわかるように、コミュニティが衰退の危機にあるというのです。

 ボロヴォイはパットナムの主張に一定の理解を示しつつも、旧来のコミュニティをそのまま復活させることには批判的でした。というのも、コミュニティを維持するためには、日常誰かがその仕事を担う必要があり、とりわけ専業主婦がそれをやるということになると、ジェンダーの視点から問題が出てくるというのです。

 これに対して私は、高齢化の進む日本では、高齢者がその役割を担うことができるし、また、できるだけ誰もがコミュニティにかかわることのできる仕組みをつくっていく必要性があると訴えました。

 ここでわかってきたのは、コミュニティの再生が必要であるという部分については、ボロヴォイも賛同しているという点です。問題は、それをいかにして旧来の息苦しい共同体に逆戻りさせることなく行うかです。

 そこで、私の「シェアリング・コミュニティ」という提言について紹介しました。『ご近所の公共哲学』の中でも核となっている部分です。つまり、息苦しい濃密なコミュニティではなく、新しい親密さを伴ったコミュニティを構築するには、以下の三つの条件が必要だと考えます。(1)認知、(2)ミニマムな情報共有、(3)暗黙のコンセンサスです。

 昨年来の無縁社会問題や、このたびの災害時の助け合いを見ても、必要最小限のコミュニティの機能を回復することは、喫緊の課題といえます。その際、挨拶程度の認知が日頃なされており、向こう三軒両隣の家族の情報が共有されており、かついざという時には助け合うという暗黙の了解が相互にあれば、少なくとも人命が失われたりするような悲劇を避けることはできると思うのです。

 ボロヴォイにこの三つの条件について感想を聞くと、基準が曖昧な気がするという答えが返って来ました。そして、ややもするとこれらの条件は一線を越えてしまい、容易に旧来のコミュニティに逆戻りしてしまうのではないかというのです。なかなか鋭い指摘ですが、ではどうすればいいのかという質問に対しては、明確な答えがありませんでした。それほど困難な問題だということでしょう。

 それゆえに私は実践が必要だと感じています。基準は実践の中で磨かれるものです。公共哲学が単なる抽象的な学問ではなく、優れて実践的な学問だといわれる理由がここにあります。こういう困難な現実に積極的にかかわることではじめて、公共哲学は実を伴いうるからではないでしょうか。

 今日のボロヴォイとの分野を越えた対話も、そのような実践の一つといえます。哲学と文化人類学、アプローチは異なるものの、目指すところは同じです。よりよい社会をつくるために何ができるのか。また一つヒントが見えてきたような気がします。
 

2011年7月22日金曜日

シリーズ第2弾 見本できあがりました


 「生きる技術!叢書」の新刊2冊『自分イノベーション──問題発見・解決の究極メソッド』と『ロングトレイルという冒険──歩く旅こそぼくの人生』の見本があがってきました。

 第1回配本の3冊が、哲学・思想・宗教という「人文系」のテーマを扱ったものだったのに対し、今月の2冊はガラリと様相を変えています。就活中の学生、社会人若葉マークの方々にぴったりのステップアップテキストと、数々の山を踏破してきたアスリートの経験知をつたえるエッセイの2冊です。

 まずはそのうちの1冊、『自分イノベーション』について、担当編集A藤からご紹介を。


 世の中にはいま、ロジカルシンキング、企画書の書き方、問題解決法、地頭力を鍛えろ、MBA資格をとれ……といったテキストがあふれていますが、その多くは対症療法的なノウハウを伝えるものがほとんどで、そこで想定されているシチュエーションでは有効かもしれないけれど、別のシチュエーションでは対応できなかったりと、汎用性が低いもののように思えます。

 そうした対症療法的なテキストではなく、考える際の土台を作るための基本の姿勢、作法、生活習慣、などを説くテキストはないものか、という声に応えたのが本書です。

 著者の林先生は、日本のシンクタンクの草分け、日本総合研究所の創立メンバーで(同期には田坂広志さん、飯田哲也さんが)、企業・官庁・自治体に向けたコンサルティング、調査、政策提言等に携わる一方、ビジネススクールにて人材育成にも尽力してきた方。

 現在は、早稲田大学大学院 創造理工学研究科にて、「グローバル時代に世界に通用する若者を育てる」をモットーに、教鞭をとられています。

 この本では、そのシンクタンク~ビジネススクールで長年培われた、いわば秘伝中の秘伝とも言うべき人材育成カリキュラムを、惜しげもなく公開しています。

 時間の使い方、必要な情報の下調べの方法、調べた内容のリスト化・序列化・構造化、データの使い方と置き換え、プレゼンテーションの方法……などなど、いますぐ実践できるメソッドがこれでもかというくらい詰め込まれています。

 なかでも、「のりしろ」と「のびしろ」/自分自身の「棚卸し」/まずは「やりなはれ」/ステークホルダー(構造分析)とイシュー(時系列分析)/天才になるまでの1万時間/まずは宣言すること/パーセントでとらえる……といった独特の手法は、他では学べないユニークなもの。

 就活中の学生はもちろん、社会人1年生、2年生、キャリアアップを目指す中堅会社員、子育て期間が終わり復職しようと考えている女性、などに読んでいただきたい本、7月29日発売です。

 また、ご多忙の合間をぬってのツイッター「linsbar」も、ときに脱力系ダジャレあり、ときにシリアスな分析あり、ときに有益な提言あり、ときに叱咤激励ありで、人気があります。このブログをご覧の読者の方々は、ぜひフォローを。

 ということで、A藤より『自分イノベーション』のご紹介でした。
 もう1冊の『ロングトレイルという冒険』につきましては、別途担当編集A山より、ご紹介させていただきたきますので、ヨロシクA山!


2011年7月21日木曜日

『最終講義』3刷決定いたしました!

 ご好評をいただいております「生きる技術!叢書」ですが、内田樹先生の『最終講義』が売上ランキングに続々とランクインしております。

・三省堂書店神保町本店 1位(社会・人文 6/20~26)

・丸善丸の内本店 4位(人文・ノンフィクション 6/23~29)

・リブロ池袋店 5位(人文 6/23~29)

・ブックファースト梅田店 1位(人文 6/27~7/3)、8位(総合 6/27~7/3)
             
・ブックファースト西宮店 5位(総合 7/11調べ)

 こうしたご好評の後押しを受けて、『最終講義』の3刷が決定いたしました。みなさまのご愛顧に感謝いたします!

 品切れでご迷惑をおかけしております書店さまには、今月末に重版分が出来上がりますので、月内には出荷対応できる予定です。

 また、アマゾンさんはじめ、オンライン書店さんでも品切れ店舗が出ておりますが、こちらにつきましても、月内には出荷対応の予定ですので、よろしくお願いいたします。

 ちなみに、オンライン書店さんの在庫状況は、こちらでも確認できますので、ご活用ください。


 引き続きよろしくお願いいたします。

2011年7月12日火曜日

プリンストンでご近所の公共哲学について考える Vol.2

スティーヴン・マセド教授に聞く、ご近所の公共哲学!
小川仁志



──小川先生のプリンストンレポート第二回。今回は、いよいよ米国政治学の重鎮、スティーヴン・マセドとの対話です。どうやらアメリカにおいても、「ご近所」は重要な概念となりそうな気配が。


 拙著『日本を再生!ご近所の公共哲学』刊行を受けて、私の師匠プリンストン大学政治学部教授のスティーヴン・マセドと公共哲学について語り合いました。今日はその概要をご紹介したいと思います。

 軽く語り合ったと書きましたが、日本にいたらそう易々と話ができる人物ではありません。こちらでいうなら、いわば「マイケル・サンデルと語り合って来ました」というのと同じです。というのも、マセドはアメリカ政治学会の重鎮で、20数冊の編著書をもつ政治哲学の大家だからです。年齢も50代前半でサンデルと同世代です。休日短パンで部屋の整理をするマセドに時間を割いてもらい、いくつか質問をぶつけてみました。

『ご近所の公共哲学』を手にするマセド

 まず、そもそも公共哲学とは何か、政治哲学とどう違うのか尋ねました。マセドは、政治哲学のほうがより専門的で、一般の人にとっては距離のある学問ではないかといいます。そして公共哲学のほうが取り扱う対象が広く、より一般の人に広く開かれているというのです。たしかに私の今回の本も、幅広く問題を扱っています。

 学問としては公共哲学のほうが新しい感じがしますが、実はソクラテスの時代から人々が親しんできた「哲学」という学問は、公共哲学にほかならないというわけです。その意味では、公共哲学のほうがご近所の営みとしてはよりふさわしいといえます。マセドも「ご近所の公共哲学」という表現に賛同してくれました。

アメリカンドリームはご近所から始まる!

 そこで次に、ご近所は公共哲学の担い手として主役になり得るかどうか尋ねてみました。マセドがこの質問を聞いて開口一番口にしたのは、「学者はご近所について勉強が足りない」という興味深いセリフでした。ローカルレベルにおけるご近所の意義を軽視した結果が、様々な不公平を生んでいると、彼はいいます。とりわけ地域における公教育の意義や政治参加促進の意義を重視します。

 ちなみに、マセドのいうご近所は、生活圏において何らかの交流がある人を指しています。具体的には数十人から数百人規模だそうです。今こういう範囲のご近所でさえ、交流が減りつつあります。マセドもそのことを危惧していました。ご近所は主役になり得るかどうか。結局この問いに対する答えとしては、マセドの次の一言がすべてを物語っているように思います。「アメリカンドリームはご近所から始まる!」。なるほど……。

 さて、ではそんな潜在力をもったご近所は、悩めるアメリカ社会にどのような福音をもたらしてくれるのでしょうか。奇しくも来年は4年に一度の大統領選挙の年です。こちらではすでに戦いの火ぶたが切られています。オバマ政権の引き起こした経済低迷からの回復が最大の課題ですが、そのほかにも懸案の国民皆保険問題や格差問題など、多くの難題が争点になっています。

 マセドは政治にはお金がかかるといいます。これは何も政治活動のことではなく、社会を運営するには税金がいるということです。しかし、アメリカでは個人主義が根強く、どうしても思い切って税金を上げることができません。国民皆保険が実現できないのもそれが理由です。それどころか財政難を理由に、公教育のための予算など、削ってはいけないものまで削られ始めているのです。

 基本的にマセドはリベラリズムの立場をとるため、個人主義そのものを批判しているのではありません。問題なのは「極端な」個人主義です。したがって、「ご近所」はアメリカでも、極端な個人主義が引き起こす問題を解決する鍵になりうるといいます。

助け合い、秩序、美徳が自信を取り戻す鍵に

 最後に、今日本の置かれた厳しい状況について、マセドの見解を聞いてみました。まず失われた20年と呼ばれる経済低迷については、高齢化を止めるための有効な手を打たない限り解決は難しいと見ているようです。この点アメリカは移民を受け入れているため、問題ないのです。

 そして何より自信を取り戻す必要があるといいます。たしかに日本人は、長い経済の低迷のせいで、個別の問題を解決する以前に、一番大事な気力を失っているかのように見えます。逆説的ですがマセドは、震災の際見せた日本人の助け合いや秩序、あの美徳が自信を取り戻す鍵ではないかといいます。これは重要な指摘であるように思います。

 さらに原子力発電所の問題についても言及してくれました。アメリカにも同様の問題があるからです。マセドは三つの事項について再構築を求めます。つまり、透明性確保の方法、安全性基準、政府の管理体制です。これらについても、直接影響を受けるご近所のかかわる余地が大きいといいます。

「ご近所の力」は日米共通のキー概念に

 マセドとの対話は時折道をそれながらも1時間ほど続きました。彼には『リベラル・ヴァーチューズ Liberal Virtues』という著書があります。コミュニティによって育まれる徳こそが社会の問題を解くカギであり、それは個人を尊重することと決して矛盾しないという主張です。これは、ご近所が生み出す底力こそが社会の問題を解決するという、『ご近所の公共哲学』の主張に相通ずるものといえます。どうやらマセド教授のもとで進めるアメリカでの研究は、『ご近所の公共哲学』の延長線上にあるといえそうです。

2011年7月8日金曜日

本屋さんの店先で  Vol.4

 
「生きる技術! 叢書」ご好評いただき、ありがとうございます。
創刊第1弾につづきまして、7月28日には2タイトルの発売が決まりました! 
 
詳しくはまたこのブログや編集部twitter、または小社ホームページでもお知らせしますので、いましばらくお待ちください。また、メディア掲載情報も告知していく予定です。 
 
 
さて、本日の書店様は、大垣書店イオンモールKYOTO店様。
大々的に展開してくださっています。
水戸黄門と助さん角さんのような並びです。このうらにはもしドラ!
 
フェア展開をしてくださっている書店様もおおく、編集部一同、うれしはずかし、ちょっとドキドキしております。

2011年7月5日火曜日

プリンストンでご近所の公共哲学について考える Vol.1

小川仁志


──『日本を再生!ご近所の公共哲学』の著者、小川仁志先生は、現在米プリンストン大学に赴任中。そのプリンストンでの研究の日々を、これから数回に渡って先生にレポートしていただきます。その第一回目、まずはイントロダクションということで。



  拙著『日本を再生!ご近所の公共哲学』をご愛顧たまわりまして、誠にありがとうございます。本来であれば、この本について日本中を飛び回ってお話しした かったのですが、今私はアメリカのプリンストン大学にて在外研究を行っています。そこでこのブログでは、本の内容とかかわらせながら、アメリカでの研究生 活を数回にわたってレポートしたいと思います。

 そもそも私がここプリンストン大学に来たのは、共同体の倫理について研究するためでし た。ヘーゲルの共同体論で博士論文を書いた後、あまりまじめに研究をしてこなかったのですが、欧米の政治哲学に関心を広げて以来、再び真剣に研究をしたく なったのです。そこで色々調べた結果出くわしたのが、プリンストン大学のスティーブン・マセド教授による『リベラル・ヴァーチューズ Liberal Virtues』という本でした。


著者のアメリカでの師匠、スティーブン・マセド

 ヴァーチューというのは「徳」という意味です。面白いことに、マセドは個人を重視するリベラルの立場からヴァーチューの重要性を訴えているのです。というのも、通常ヴァーチューは、共同体の中で育まれ、共同体を重視する人たちが主張するものだからです。
 たしかに世の中は、一人ひとりの個人を中心に考えなければなりません。しかし同時に、今の世の中にはヴァーチューが求められています。実は『ご近所の公共哲学』もそうした問題意識から書いたものなのです。ご近所の紐帯、そこで育まれたヴァーチューが日本の危機を救う鍵を握ると考えたからです(共同体の大切さについては、特に「第3章 流行りの共同体論」をご参照ください)。

 このようなことから、個人の自由とヴァーチューをうまく結びつけているマセドの考え方に、私は関心をもつようになりました。そこからは持ち前の行動力の出番です。メールを送ってアポを取りつけ、アメリカに乗り込んで彼に猛アタックしました。そこでの努力が今年度の在外研究に結実したのです。何しろプリンストン大学はハーバードと並ぶ超有名校です。そんなところに客員研究員として在籍できるのは実に光栄なことなのです。

 たとえば私の所属するヒューマン・バリュー・センターのディレクターは、チャールズ・ベイツです。コスモポリタン・リベラリズムの立場から、ジョン・ロールズの『正義論』をいち早く批判した人物です。正義が国家を越えて実現されるべきことを訴えました。最近は同様の立場から人権について論じています。

チャールズ・ベイツと、彼の研究室で

 コスモポリタンといえば、まさに『コスモポリタニズム Cosmopolitanism』というタイトルの著書をもつK・アンソニー・アッピアもヒューマン・バリュー・センターに所属しています。彼も小説を書いて賞を獲ったりしている世界的に有名な哲学者です。
 このコスモポリタニズムについては、『ご近所の公共哲学』の中でも、「第8章 地球サイズの公共性」にて論じていますので、ぜひご覧ください。ちなみにこの章では環境倫理についても触れていますが、今世界で最も有名な環境倫理学者といえば、ピーター・シンガーの名を挙げることができると思います。なんと、シンガーもヒューマン・バリュー・センターに所属しているのです。しかも、私は彼の部屋の一部を使わせてもらっています。もう毎日が感激で一杯です。

 感激といえば、これはプリンストン大学の話ではないのですが、宗教学者のレザー・アスランと友達になれたのは、こちらに来て最も嬉しい出来事の一つでした。アスランについては、『ご近所の公共哲学』の「第7章 差異と対立に満ちた社会」で触れていますので、ご参照ください。テレビでも売れっ子の若手知識人です。もちろんイケメンです。


イケメンのアスランとツーショット

 さて、このように恵まれた環境で研究を始めたわけですが、やらなければならないことは山のようにあります。他方でアメリカでは、次々と大きな問題が生じてきます。ビンラディンの殺害、大物政治家のスキャンダル、同性婚の合法化……。アメリカにいる限り、それらについても考えないわけにはいきません。まさに公共哲学の問題だからです。
 アメリカで考えたことも今後どこかでお伝えする機会があるかと思いますが、それを楽しんでいただくためにも、まずは『ご近所の公共哲学』を手にとっていただけると幸いです。

 次回は私の師匠、スティーヴン・マセドと考える公共哲学をレポートしたいと思います。お楽しみに!

2011年7月4日月曜日

内田先生、釈先生よりメッセージが届きました

内田樹先生、釈徹宗先生より、それぞれご自身の新刊につきまして、読者のみなさまへのメッセージをいただきました。すでに本をお買い上げになられた方も、これからの方も、ぜひご覧ください。



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内田先生よりみなさまへ

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釈先生よりみなさまへ

2011年6月28日火曜日

本屋さんの店先で  Vol.3

本日も、書店さまの店頭写真を販売促進部T田がおさめてきてくれました。

「生きる技術!叢書」 創刊第一弾 絶賛発売しております。

いまを、これからを生きるための思想、知恵をお伝えするラインナップです。


ブックファースト銀座コア店様は、話題書に。
丸善丸の内本店様は、最終講義を中心に。

2011年6月27日月曜日

『最終講義』はやくも重版決定!

 6月24日に発売開始いたしました、「生きる技術!叢書」第一弾の、内田樹著『最終講義』が、発売3日目にして重版決定いたしました。みなさまのご愛顧、ありがとうございます。

 書店様へ。
 現在、超特急で印刷作業を進めておりまして、7日7日には2刷目が出来上がる予定です。当面ご注文に対して十全な対応ができないかもしれませんが、来週以降は対応できると思いますので、しばしお待ちください。


本屋さんの店先で  Vol.2

おはようございます。
さて、本日は大阪の二店の書店様の店先で、陳列の様子を撮影させていただきました。

MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店様ではシリーズ三点セット。

ジュンク堂書店大阪本店様は圧巻の棚全面展開!

本シリーズ、ご好評をいただき週末に品切になってしまった書店様もあるようです。
(私が週末訪れた書店ではうれしいことに、そうでした)

2011年6月24日金曜日

本屋さんの店先で  Vol.1

あの日見た本の名前を僕達はまだ知らない。とならないよう、懸命に本づくりに励みたいこのごろです。

さてさて、本日24日発売の「生きる技術!叢書」ですが、書店店頭で並べられた姿をさっそく小社販売促進部員T田がパチリと撮ってきてくれました。

丸善日本橋店さんの様子です。
こちらは内田樹先生の『最終講義』ですが、新刊コーナーやサンデル先生のお隣に置いていただいてます。

↑新刊棚のようす
↑サンデル先生のおとなり。

このような佇まいですので、よろしければ店頭にて手にとってご覧くださいませ。