2011年11月28日月曜日

年内最後の新刊『メディア化する企業はなぜ強いのか?』

今年6月に刊行開始し、これまで8冊の本を刊行してきました「生きる技術!叢書」、その年内最後の新刊がこれです。小林弘人著『メディア化する企業はなぜ強いのか?──フリー、シェア、ソーシャルで利益をあげる新常識』。11月29日に発売になります。


 著者の小林弘人さんは、インターネット黎明期に「日本版ワイアード」の編集人を務め、その後紙メディアのみならず「ギズモード・ジャパン」などのウェブメディアの立ち上げ、多くの企業メディア、著名人ブログの立ち上げにかかわった、メディア界の仕掛人。2009年に著した『新世紀メディア論──新聞・雑誌が死ぬ前に』では、「誰でもメディア時代」におけるインターネットを通じた情報発信の可能性を説き、旧来メディアである出版・新聞業界に衝撃を与えました。

 また、監修・解説を担当した『フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略』(クリス・アンダーソン著)、『シェア〈共有〉からビジネスを生み出す新戦略』(レイチェル・ボッツマン&ルー・ロジャース著、共にNHK出版)では、これからのビジネスを考えるうえでのキー概念である「フリー」「シェア」の考え方を紹介し、大きな反響を呼んだことは記憶に新しいことと思います。

 その小林さんの満を持しての新作が、この『メディア化する企業はなぜ強いのか?』。インターネットの進化がもたらした環境下で、個人が情報発信することの意義を訴えた前著(曰く、「誰でもメディア宣言」)からうって変わり、今回は「企業向け誰でもメディア宣言」、すなわちビジネスの世界において、企業がメディア化することによってもたらされるポテンシャルについて語った内容。

 「統制」から「移譲」へとコミュニケーションの本質が変わった現在(情報はもはやコントロールできない!)、企業がユーザーと良好な関係性を結ぶためには、企業自らが出版社や放送局のようにメディア化する「メディア化戦略」が求められます。フリー、シェアの手法を駆使しつつ、ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアを活用してコミュニティを形成し、ユーザーと直接つながる「社会に接続された企業」こそが、次代の日本を活性化させると著者は説きます。
 新しい時代のコミュニケーションを模索することは、新しい組織のかたちについて考えること。ビジネスの世界における「新常識」を、本書から読み取ってください。

 ちょうど同時期に、『フリー』『シェア』に続いて小林さんが監修・解説を務めた本、ジェフ・ジャービス著『パブリック──開かれたネットの価値を最大化せよ』がNHK出版より発売になりました。おそらく書店さんのビジネス書コーナーでは、2冊が並んで置かれる光景が見られることと思います。情報をパブリックにすることによってもたらされる価値を共に説く2冊、あわせてご一読いただければと思います。